さっぽろの不動産屋さん ろんたいの備忘録

札幌で細々と不動産屋を営むおっさんの四方山話です。

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契約不適合責任ってなにもの? 民法改正のポイント(1)

札幌市の本日(5月6日)の新型コロナ感染者数は16人とのことです。昨日は連日の20人超えからいきなり9人に激減していましたが、そんなに急激に収束するわけがないと思っていましたので、16人というのは想定内といえば想定内です。しかし、2ケタに戻ったと聞くとやっぱりがっかりしてしまいました。頭では冷静に事態を把握しようとしているつもりでも、心は事態の収束をまさに切望しているのだなあ、とわかってしまいました。なんだかやるせない気持ちにさせられた連休最終日の夕暮れです。

本来ならば、明日から仕事だ、4月のマイナスを取り戻すぞ!と気合を入れなくてはいけないのですが、緊急事態宣言は続いていますので零細自営業の弊社といえども基本は在宅勤務を継続します。月初なので最低限の外出はありますが基本は自宅で携帯とパソコンによるテレワーク。いきなり景気の良い話が舞い込むとも思えず、なんとも地味な連休明けとなりそうです。

前回のコラムでは札幌市場の現状報告をさせていただき「次回は今後の市況予測」などと嘯きましたが、休みボケの頭ではなかなかまとまりがつきません。脳細胞の試運転と称して明日からの通常業務のために、本年(2020年)4月1日に大改正となった民法について復習してみました。その中で不動産取引に関する重大な改正ポイント、「契約不適合責任」について簡単に説明してみましょう。

 

<120年ぶりの民法改正‼ 「契約不適合責任」とは>

2020年4月1日に改正民法(債権法)が施行されました。これは実に120年ぶりの大改正とのことで、改正の理由は以下の4つといわれています。

①わかりやすい民法判例・法理等を明文化する)

②条文のあり方・表現を変える(わかりずらい文章、わかりずらい用語を減らす)

③社会経済の変化への対応

④国際的なルールに対応

200項目以上の変更がなされ、主な改正事項だけで24項目あります。その詳細は法務省のホームページで説明されています。

http://www.moj.go.jp/content/001259612.pdf

売買契約に関する改正の大きなポイントは5つあるといわれています。

契約不適合責任債務不履行による損害賠償・手付・損害賠償の予定、そして売主の義務です。ここでは契約不適合責任とはなんぞや?について少し詳しく説明していくことにします。

契約不適合責任とは、従来の瑕疵担保責任を廃止して代わりに規定された売主の責任です。従来の瑕疵担保責任を、商品の種類にかかわらず欠陥があった場合に買主はどのような救済をうけることができるのかを、もっとわかりやすくしよう、また、「隠れた瑕疵」という言葉そのものももっと明解にしよう、というのが改正の目的といわれています。

とはいえ、改正後もなかなか細かくて大変ですが、大きな変更点は、「隠れたる」という要件がなくなったこと、権利行使の方法に追完請求代金減額請求が加わったこと、権利行使期間が知ってから1年以内の「請求」から「通知」に変わったことでしょう。

「隠れたる」は従来、瑕疵として成立する要件であり買主の善意無過失を意味するとされていましたが、改正民法では契約の内容に適合するかどうかのみを要件とすることとなり文言が外されています。

追完請求とは、契約不適合部分の修理や補修をするように要求することです。また、商品に欠陥がある場合に代金の減額で処理されることが多いため、代金減額請求が権利行使の方法として加えられました。

買主は、従来は契約に不適合な内容を知ったときから1年以内に「請求」をしなければなりませんでした。「請求」とは欠陥の具体的な内容とそれに基づく損害賠償請求をすることを表明し損害額の算定根拠を明示して伝えることを示します。これは買主側の負担が大きいとして、今回の改正ではおおまかな不適合の範囲をあきらかにすればよいとされています。

瑕疵担保責任との違いを表にしてみましたのでご参照ください。

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契約不適合責任については、従来の瑕疵担保責任と同様に特約によって免責することが可能とされています。今回の改正では売主側の責任が大きくなっていますので、契約書の作成や確認には、より特約条項の確認に注意が必要となります。

ただし、売主が宅地建物取引業者であり買主が一般の方の場合は、これも従来の瑕疵担保責任同様に、消費者保護の観点から宅建業法の規定により、契約不適合責任の免責は認められません。

 

不動産会社の日常業務では、重要事項説明書や契約書の作成が結構時間を取ります。間違えては大ごとですからね。一から作成すると大変なので標準書式を採用して成約案件の文案を利用してちょこちょこ必要な部分を直して作成する場合も多いと思います。しかし、4月以降の書式は民法改正により変更箇所が多いため、最初から書式を作り直す必要がありました。あんまり成約数が乏しかったから楽にできましたけどね。

                                    以上