さっぽろの不動産屋さん ろんたいの備忘録

札幌で細々と不動産屋を営むおっさんの四方山話です。

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買主は実印が必要か?・・・不動産の売買登記に必要な書類について

本日(2020年5月16日)の札幌市新規感染者は5名、そのうち院内感染者は1名、濃厚接触者は4名ということで感染経路不明者は0名でした。感染爆発はしていない状況といえますが、なかなか0名というわけにもいきませんね。

石狩管内以外の緊急事態宣言解除ということで自粛解禁のニュースも相次いだせいか、札幌もなんとなくムードはコロナ終了という感じになってきている気もします。本日は一件、ワンルームマンションの売買契約締結があったので、昼過ぎに、札幌市中心部まで外出したのですが、天気が今一つで風が冷たい割には、車の通行量も人通りも少し多くなってきたような気がします。第2波が来なければ良いのですが、ちょっと心配になりました。

私といえば、契約が終わればさっさと自宅に帰り、再び在宅勤務。重要事項説明や契約書の読み合わせで喋り続けたので、コーヒー飲んで一休みです。

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母譲りの手動のコーヒーミル 

事務所では、コーヒーカップ洗いがめんどくさいので、お客様にもペットボトルのお茶や水を出すだけです。しかし、在宅勤務になってからは、ミルで豆を挽いてドリップして飲むようにしています。手で豆を挽くという単純作業をしながら、コーヒー豆のとても良い香りを楽しんでいると、心が落ち着くような気がします。豆を挽くという言葉の響きも、コーヒーというより「珈琲」という感じで気に入っています。

コーヒー豆は近所のスーパーでスタバの豆を買ってきていますが、そのお店には2種類のブレンドしかないので、今度は通販で違う種類にも挑戦してみようと思っています。

今、気になっているのはこの森彦の珈琲豆。

        

  

<売買登記に必要な書類とは>

本日の契約は、契約締結時に手付金を授受し、後日決済日を定めて決済・引き渡し、所有権の移転登記を実施するというものでした。登記は当日司法書士に依頼することにしたので、決済日の段取りを買主様に説明していた時に、印鑑証明書は必要ですかと尋ねられました。

結論からいうと、買主様は住民票か印鑑証明書のどちらかは必要ですが、今回は、実印を押印する必要はないため必ずしも印鑑証明書は必要ありませんでした。

本来はこうした説明も司法書士の仕事なのですが、今回のように当日にしか司法書士に会わない場合は、私どもが概要をご説明する場合もあります。売買の登記に必要な書類や準備するものについて、それぞれ整理してみることにしましょう。

 

(1)不動産の売買に必要な登記

売買による所有権移転登記・・・売主から買主に所有権が移転したことの登記
抵当権等設定登記・・・買主が金融機関からの融資等の担保として、購入した不動産に設定した抵当権や根抵当権の登記

抵当権等抹消登記・・・売主が売却する不動産に設定していた抵当権や根抵当権を、引渡し前に抹消する登記

住居表示・名義人等変更登記・・・売主が所有中の登記済の住居表示や名義人の氏名等が変更していた場合の変更登記

①は売主と買主による共同申請、②は買主と金融機関、③は売主と金融機関、④は売主の申請となります。

本日の契約では、買主は金融機関から融資を受けることはなく、売主側にも抵当権の抹消や変更登記の必要な事実もないため、①売買による所有権移転登記のみを司法書士に依頼することになります。

 

(2)売買による所有権移転登記に必要な書類

司法書士が作成する書類・・・買主・売主双方の署名・捺印(売主は実印)が必要

  • 登記原因証明情報・・・登記原因・当事者・不動産の表示等を記載した書類
  • 委任状・・・移転登記を司法書士に委任する

買主の必要書類

  • 住所を証するもの住民票の写し戸籍の附票印鑑証明書いずれか)(法人の場合は登記事項証明書)
売主の必要書類
  • 権利証(登記済証、もしくは登記識別情報通知書)
  • 印鑑証明証(売主は必須発行3カ月以内のもの)(法人の場合は登記事項証明書)
そのほか事例に応じて必要書類が増える場合もありますので、詳細は司法書士に確認しましょう。
 
<不動産の売買で、買主に実印は必要か?>
不動産の売買では、買主が実印を押印する必要はありません。そもそも売買契約は口約束でも成立している、というのが民法上の原則です。したがって実印を証明する印鑑証明書も本来必要ありません
一方で、売主は契約書や委任状の捺印は、実印の必要があります。売却が不本意なものではなく本人の意思であることを明確にするという意味があるとされています。不動産登記法では売主の印鑑証明書がなければ移転登記はできないとされています。
 
ただし、印鑑証明書(発行3カ月以内のもの)は住所を証すると認められていますので、買主も住民票の写しの代わりとして利用することはできます。
また、買主が銀行ローンを利用するなど抵当権等設定登記をする必要がある場合は、ローンの契約書や委任状などに買主は実印を捺印し印鑑証明書を用意する必要が生じます。
 
不動産の売買は重要な取引です。弊社としては、実印の必要があるかないかを尋ねられた場合は、こう答えています。「本来は買主は認印でも良い、とされています。ただし、人生において大きな重要な取引を実行するのだ、という気持ちで契約に臨んでいただきたいのです。実印の使用をお勧めします。」