さっぽろの不動産屋さん ろんたいの備忘録

札幌で細々と不動産屋を営むおっさんの四方山話です。

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コロナ社会を支える札幌の地域型保育事業(基礎知識)

本日(5月18日)の札幌市の新規感染者数は1人。北海道は0人。道内では院内感染や施設内感染が頻発しており憂慮されていましたが、ようやく感染拡大は抑止されつつあるとみて良いのでしょう。医療関係者や政治・行政の分野で対策に尽力される人々を始めとして、様々な業務・局面で生活を支えるすべての人々に心からの感謝を捧げます。

札幌市でも本日から特別定額給付金の申請書の配布が始まりました。郵便配達の職員さんが政府が配布するマスクいわゆる「アベノマスク」を配布しているのを、散歩中に初めて見かけました。散歩の途中で立ち寄ったコンビニでは珍しく不織布マスクが販売されていました。待ちわびた日常が訪れるのはもう間もなくかもしれません。

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近所のコンビニで久しぶりにマスクが!

コロナ社会を支える地域型保育事業 どんな仕組みや制度なのか知っていますか?>

様々な業種や職種に携わる人が、今の時代を支えてくれています。そうして働く人々を支えている業種の一つとして、欠かせないのが保育園です。ただでさえ核家族化が進んでおり、子育ての物理的・精神的負担は親世代に重くのしかかります。そのうえ、コロナ感染対策のためにどうしても家を空ける時間の多い医療従事者や物流・生活必需品の販売業務などの仕事をしながら子育てをしている方たちにとっては、子供をケアしてくれる保育園は無くてはならないものといえます。

たまたまなのですが、昨年末から、札幌市の認可地域型保育事業のために賃貸物件を探しているというお客様のご相談を何件か受けています。私はもう子育てを終えた世代なので保育園の事情には疎かったものですから、いろいろ勉強させてもらいました。そうした仕事で覚えた知識をここで少しご紹介したいと思います。

<札幌市の地域型保育事業>

札幌市が認可する、「3号認定」を受けた児童(生後5ヵ月(又は産休明け)から3歳未満で保育を希望し、区役所で確認・手続きを実施する認定を受ける)の保育を実施する事業をいいます。原則として定員が19人以下の少人数保育として、札幌市が定める基準を満たした事業者が、交通環境のよい賃貸物件等で運営され、家庭的保育事業、小規模保育事業、事業所内保育事業の3つに区分されます。

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地域型保育事業を利用したい場合は、下記のリンクをご参照ください。

お子様に、集団生活を体験させたい、幼児教育の場として利用したいというだけでは、対象になりませんのでご注意ください。

必要書類については、かならずお住まいの区の保健センター(健康・子ども課 子ども家庭福祉係)に電話等で事前にご確認ください。必要様式については、札幌市申請書・届出書ダウンロードサービスより、必要なものをダウンロードしていただけます。

 

<札幌市の地域型保育事業所整備事業者の募集について>

札幌市は、小規模保育事業の事業者を本年度も募集しています。弊社が相談を受けているのは、この募集に応募しようと企画しているお客様です。

www.city.sapporo.jp

これは、新規に小規模保育事業のA型を実施する事業者を募集するもので、認可外の保育所からの移行は対象になっていません。

今回の募集は、5月11日~6月12日の間に整備計画を札幌市に提出しなければなりません。そのため、今まさしく整備計画を精査しているタイミングとなっています。どこに設置するのかという点はまさに整備計画の中でも根幹であり、不動産屋が働かなければならないポイントでもあります。

札幌市としては、「区別・小学校別の必要度一覧表」を作成し、今回の募集ではそのうち厚別区と南区を対象としています。しかし一方で、市内において既に保育施設(認可保育所、幼稚園、認定こども園のいずれか)を設 置しており、当該保育施設を連携施設とし、且つ当該保育施設から 800m以内に小規模保育 事業所を設置する場合は、「区別・小学校別の必要度一覧表」に関わらず、必要度 Aとみなすとしています。つまり連携できる 施設さえ800m以内に確保できれば、立地に関しては自由となります。これは既に認可施設を保有する事業者にとっては大きなアドバンテージになるといえるでしょう。

ただし、立地条件については、その他にも下記の除外条件があります。

(1) 設置予定地の用途地域が「工業地域又は工業専用地域」の場合

(2) 200m以内に児童の健全な育成に影響を及ぼすような風俗関係施設として、店舗型性風俗特殊営業施 設が所在する場合

(3) 100m以内に風俗営業施設(パチンコ店、ゲームセンター等)が所在する場合

(4) 既存の認可保育所、小規模保育事業所、幼稚園及び認定こども園等の位置関係から新規設置が必要 でないと判断する場所(例として、既存の保育施設等の周囲に近接する場所など)

(5) その他、小規模保育事業の位置として適切でないと判断する場所

また、 市街化調整区域については、小規模保育事業所についても建設を制限されており、整備を行うことは できません。 

その他物件の選定にあたっては築年数が問題になります。建物の経過年数は、木造 22 年、鉄骨造 19 年~34 年(鉄骨の厚さによる)、鉄筋コンクリート造 47 年 以下の財産処分制限期間を目安とするとされています。(令和2年1月1日現在) 。

また 、建物の賃貸料の建物の貸与を受けるための要件について、 (1) 賃借料が地域の水準に照らして適正な額以下であること。 (2) 安定的に賃借料を支払い得る財源が確保されていること。 (3) 賃借料及びその財源が収支予算書に適正に計上されていること などが規定されおり、 定期建物賃貸借契約などの契約の更新のない制度を利用する場合については、上記に加えてさらに細かい条件が規定されています。 

こうした条件に見合う物件を探さなければ認可を得ることはできません。そのため、都度、事業者と札幌市は打ち合わせを重ね、不動産業者も条件に沿うよう貸主側と交渉を重ねることになります。

しかも、こうした認可事業は、やっと賃貸条件が貸主・借主で合意できたとしても、認可が下りなければ賃貸契約は無効とする、という停止条件が付くことが原則です。不動産会社としては、札幌市の子育て世代のためにも、地震の仕事の成果を得るためにも、認可を祈るような気持ちで心待ちにする日々が、これからもしばらく続くのです。

                                   以上