さっぽろの不動産屋さん ろんたいの備忘録

札幌で細々と不動産屋を営むおっさんの四方山話です。

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一物四価とはなにか 土地の公的価格について

東京アラートが発動されたのは6月2日。やっと北海道は緊急事態宣言が解除されて、すすきのにも灯りが戻り始めたことがローカルニュースで流れ始めたタイミングなのに、新型コロナの感染者が再び増加し始めているとは残念なことです。札幌市の今日(6月3日)の新規感染者数は3人でした。まずは1日でいいから0人という報告を聞きたいものです。

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花は満開

本日は、お客様に、査定内容をご説明をする機会がありました。その際に、参考資料として、近隣の公示価格と路線価を提示させて頂いたのですが、なんとなく聞いたことはあるけど、意味をよく知らないのですよね、とおっしゃられていました。そうですよね、日常生活では一般の方はあまり使わない言葉ですよね。そこで「そもそも『一物四価』と申しまして」などと、また長い蘊蓄を語ってしまいました。皆さんも少しお付き合いください。

 

<公的価格はなぜ存在するのでしょう>

不動産屋は、土地や建物を売却する依頼を受けると、まずその物件をいくらで販売することができるかという想定価格を算出します。これを「価格査定」といいます。不動産は、同じ時に同じものが売り出されることはない、定価というものがない、という性質がありますので、取引が成立するには、売主と買主が市場の相場を判断してお互い合意できる価格を見つけるしかありません。その目安を不動産屋が過去の取引価格やその傾向、不動産の収益性を加味して想定するのが価格査定です。

しかし、物件によっては近隣で同様の取引事例を探すことが困難な場合や実際に存在しない場合もあります。特に、土地については、原価というものが本来ありません。そこで土地については、価格に何らかの目安をつける方法として、公的機関が目的に応じて価格を算定して公表しています。それを「公的価格」といいます。公的価格は、代表的なものが4種類あり、一つの土地に対して4種類の価格があることから「一物四価」といわれています。また、実際に取引されている市場価格を実勢価格といいますが、それを加えて「一物五価」という場合もあります。

 

<一物四価の種類と特徴>

「一物四価」といわれる公的価格は(1)公示価格(2)基準値標準価格(3)路線価(4)固定資産税評価額 です。

(1)公示価格は、地価公示法に基づき、国土交通省が、全国に定めた26000地点(標準地といいます)を対象に、1㎡当たりの土地の価格を公示したものです。実際の取引事例を参考に、1標準値につき2名の不動産鑑定士により鑑定評価され、それを土地鑑定員会が審査調整して最終的に公示します。一般の土地取引価格に指標(目安)を与えるものとして公示されています。

(2)基準値標準価格は、公示価格の補完的役割として都道府県によって公表されています。毎年、1月1日時点の価格判定が公示価格として3月下旬に発表され、7月1日時点の価格判定が基準値標準価格として9月下旬に発表されるため、半年毎に公的価格が発表されることになります。この2つの公的価格で土地の市場価格の動向を把握することができます。

公示価格と基準値標準価格は、実勢価格と同水準とみなされます。しかし、実際の取引価格は時間の推移とともに変化しますし、売主や買主の事情にも左右されること、用途や形状、周囲の環境によっても変化しますので、ケースバイケースとなることは、深く理解しておきましょう。

 公示価格と基準値標準価格は、国土交通省の土地総合情報システムから検索することが可能です。

www.land.mlit.go.jp

 

(3)路線価は相続税贈与税の課税価格を評価するために使用されます。平成3年の閣議決定により、路線価は平成4年から公示価格の80%の水準を目標に定めることとされています。国税庁が毎年8月上旬に公表しており、国税庁のホームページで確認することができます。

www.rosenka.nta.go.jp

 

(4)固定資産税評価額は、固定資産税、登録免許税、不動産取得税、都市計画税等の課税標準となります。こちらも平成3年の閣議決定により、平成6年の評価替えの時から、公示価格の70%の水準を目安にすることと定められています。3年ごとの基準年に、1月1日時点の評価替えが行われています。毎年1月1日時点の所有者に対し、固定資産税等通知書により税額の根拠として通知されています。

固定資産税評価額は、土地の所有者本人、同居の家族、相続人、裁判等の申立人、委任状を持つ代理人は、市役所か市税事務所で、固定資産等評価証明書を申請することにより確認することができます。

札幌市の場合は、不動産屋は、宅建協会で所定の書式を10枚ワンセットで購入し、代表者印を押印すれば、宅地建物取引士が不動産の取引・調査に使用する目的に限り、固定資産等評価証明書を請求することが可能です。委任状が必要ないので便利です。他の都市はこういった便宜を図る施策はあるのでしょうか?

一物四価のそれぞれの特色について、以下の通り表にまとめてみました。ご参照ください。

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以上