さっぽろの不動産屋さん ろんたいの備忘録

札幌で細々と不動産屋を営むおっさんの四方山話です。

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サブリース業者とのトラブル防止が狙い! 「賃貸住宅の管理業等の適正化に関する法律」が成立

2020年6月12日に、「賃貸住宅の管理業等の適正化に関する法律(賃貸住宅管理適正化法)」が、参議院で可決されて成立しました。3月6日に法案が閣議決定されており、国土交通省より法案の概略がプレスリリースされています。

https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001331550.pdf

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本法律の主な内容は、

(1)サブリース契約の勧誘・契約行為の適正化(トラブル防止)

(2)賃貸住宅管理業の登録制度の創設

となっています。(1)のサブリース契約のトラブル防止については半年後の2020年12月、(2)の登録制度の創設については来年6月から施行され効力が発生する予定で、それまでに詳細が逐次定められ、政省令が発布されることになります。

弊社も細々とではありますが、賃貸管理も実施していますので、本法律の施行にあたっては対応を間違うわけにはいきません。もう少し詳しく国土交通省のホームページを調べてみました。

 

<本法律の目的は、頻発するサブリース業界のトラブル防止!>

国土交通省では、本法律の背景・必要性を以下のように説明しています。

・賃貸住宅は、今後も我が国の生活の基盤としての重要性が一層増大

・賃貸住宅の管理は、自主管理から、管理業者に管理を委託するオーナーが増加

・賃貸経営を管理業者に一任するサブリース方式も増加

・管理業者とオーナーもしくは入居者とのトラブルが増加、特にサブリース方式での家賃保証の契約条件に係るトラブルが多発、社会問題化

 このような背景から、本法律が策定されることになりました。新法は、宅地建物取引業法の関連業法とは位置づけられていません。賃貸旧宅の管理業を宅地建物取引業とは全く異なる業態とした新たな根拠法とされています。

また、対象となるのは賃貸住宅だけです。事業用の店舗や事務所などは対象外となります。

主な概要は以下の2点です。

 

<(1)サブリース契約の勧誘・契約行為の適正化(トラブル防止)>

・トラブルを未然に防ぐために全てのサブリース業者の勧誘時や契約時に一定の規制を導入

・サブリース業者と組んでサブリース方式の勧誘を行う者(勧誘者)も規制の対象者

・違反者に対しては、業務停止命令や罰金などの措置により実効性を担保

 ①不当な勧誘行為の禁止 特定賃貸借契約(マスターリース契約)勧誘時に、家賃の減額リスクなど相手の判断に影響を及ぼす事項について故意に事実を告げず、または不実を告げる行為の禁止

誇大広告の禁止 マスターリースの公告時に、以下の事項について、著しく事実に相違する表示や実際よりも著しく優良であると誤認させる表示を禁止

・サブリース業者が支払うべき家賃

・賃貸住宅の維持保全の方法

・契約の解除、他省令等で定める事項

特定賃貸借契約締結前の重要事項説明 マスターリース契約前に、家賃、契約期間等を記載した書面を交付しての説明を義務付け

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【管理業務等の取引形態】

<(2)賃貸住宅管理業の登録制度の創設>

・賃貸住宅における良好な居住環境の確保、不良業者の排除、業界の健全な発展育成を図る

賃貸住宅管理業の登録・・・国土交通大臣登録を義務付け

・登録義務者は、委託を受けて賃貸住宅管理業務を行う事業を営もうとする者

・賃貸住宅管理業務とは、主に賃貸住宅の維持保全業務を行い、家賃や敷金など金銭管理の業務も含まれます。金銭管理のみを行う場合は、登録の必要がありません

管理戸数が一定数未満(現在200戸未満とされる予定)の場合は、登録の必要がありません

・現行の国土交通省告示による「賃貸住宅管理業者登録制度」とは異なり、現行の制度に登録していても、新たに登録の義務があります。

・登録の有効期間は5年とされ、5年毎に更新が必要となります。

・登録の費用は9万円です。更新の際には未定ですが手数料がかかるとされています。

②賃貸住宅管理業者の主な4業務

a.業務管理者の配置

・業務管理者は、「賃貸不動産経営管理士」「宅地建物取引士」等で国の定める講習を受けた者を想定して、配置を義務付けています。

b.管理受託契約前の重要事項の説明

・重要事項説明をするものは、現状では業務管理者でなくても従業員であればよいとされていますが、書面を交付する必要があります。

c.財産の分別管理

・管理する家賃等について、自己の固有の財産等と分別して管理する必要があります。銀行口座を分ける等の対応が必要です。

d.定期報告

・管理受託契約の相手には、業務の実施状況について、定期的に報告する義務があります。

 

また、業務上の義務も以下のように細かく規定されています。

・名義貸しをしてはならない

・管理受託契約書面を交付しなければならない

・再委託をしてはならない

・帳簿を備え付けなければならない

・事務所に標識を掲示しなければならない

守秘義務

 

<弊社の対応>

冒頭で申し上げた通り、弊社の賃貸管理業務は、細々と実施している程度なので、残念ながら管理戸数は200戸未満という状況です。そのため、現時点では登録義務がありません。業務のメインは事業用の土地・建物の売買ですから、と言い訳してみます。

しかし、今後も管理業務を継続、拡大していこうとする場合には、登録業者であることが顧客の信用を得るためにも必須、ということなのは明白です。

今後、施行日までに具体的にどのような実務上の規定が増えていくのか、行政側の発表や業界の対応状況を見ながら、登録する方向で検討を続けて行くことにします。

 

以上