さっぽろの不動産屋さん ろんたいの備忘録

札幌で細々と不動産屋を営むおっさんの四方山話です。

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札幌市の車庫証明 かかる費用はどのくらい?

2020年7月25日、コロナ感染拡大さえなければ東京オリンピックが始まっていたのだなと思うと、世の中は全く違う方向に進んでいたのだなと感慨深い4連休の三日目です。札幌は、悪天候の内地の方には申し訳ないほどの良い天気となっています。

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ゴルフをしていたら小鹿が

この連休中は、近場でダラダラ過ごしているのですが、動物たちも季節柄で活性化しているのか、鹿やら狐やらを見かける機会が何度かありました。流石は北海道という感じですよね。まあ、クマだけは勘弁してもらいたいものです。

そんなふうに近場でのんびり4連休を過ごしていたのですが、先ほど管理物件の居住者から駐車場の契約書の写しを休み明けで構わないから送付してほしいとの電話が入りました。車を買い替えるので必要だという事です。

駐車場を管理していると時々このような依頼があります。車庫証明の申請に、駐車場を借りている場合は、駐車場の所有者もしくは管理者が駐車場の使用を許可しているという書類を提出しなければならないからです。

そこで、今回は車庫証明について、私自身のおさらいの意味もありますので、詳しく調べてみることにしました。

 

車庫証明ってどんな時に必要なの?>

車庫証明とは、正式には「自動車保管場所証明書」のことをいい、「車庫法」によって、規定されています。車庫証明は、申請手続きによるものと、届出手続きによるものの2通りがあります。申請手続きは普通車を登録する3つの場合に必要となります。

(1)自動車保管場所証明手続(申請)

  • ①新車・中古車を購入する場合(新規登録)
  • ②引っ越し等により住所等を変更する場合(変更登録)
  • ③自動車の所有者を変更し、かつ使用の本拠の位置が変わる場合(移転登録)
  • 但し、北海道の場合は、「自動車の使用の本拠地が市および町にある場合」に申請が必要であるとされています。村および平成12年6月1日時点で村であった地域は、申請の必要がありません。

 

届出手続きによるものは、軽自動車に関する届出普通自動車の登録変更に関する届出があります。以前は軽自動車は車庫証明は必要ないという事だったのですが、軽自動車の普及が爆発的に進んだことと、都市部の住宅や道路事情が過密化したことから、平成3年7月1日に初めて法律の改正により適用地域内を使用の本拠地とする軽自動車について保管場所届出が必要となりました。

以後幾度かの改正を経て、最新の改正は平成23年1月1日となっている現在では、全国でも相当な数の市町村が適用地域として指定されています。北海道では札幌市、函館市旭川市小樽市江別市苫小牧市室蘭市帯広市釧路市北見市」但し、平成12年6月1日時点において町又は村であった地域を除く、とされています。

 

(2)軽自動車の保管場所届出手続(届出)

  • 新車、中古車の軽自動車を購入した場合
  • 引っ越し等により、軽自動車の使用の本拠の位置と保管場所の位置を変更した場合
    ※適用地域内において法の適用以前から存在する軽自動車については、保有者の変更がない限り届出対象となりません。
  • 運送事業用自動車であった軽自動車を引き続き自家用自動車として使用する場合
  • 届出を行った軽自動車の保管場所の位置を変更した場合(変更後の使用の本拠の位置が適用地域にある場合に限る。)
    ※保管場所の位置を変更した時は、変更した日から15日以内に届出が必要です。

(3)登録自動車の保管場所届出手続(届出)

  • 運送事業用自動車であった登録自動車を引き続き自家用自動車として使用する場合
  • 登録自動車の保管場所の位置を変更した場合(使用の本拠の位置の変更を伴うものは除く。)
    ※保管場所を変更した時は、変更の日から15日以内に届出が必要です。

 

www.police.pref.hokkaido.lg.jp

 

車庫証明を申請できる保管場所=駐車場の条件は?>

車庫証明の申請ができる保管場所については、以下の3条件を満たす必要があります。

  • 1.自動車の保管場所と使用の本拠の位置との間の距離が、2キロメートルを超えないこと
  • 2.道路から支障なく出入りでき、かつ、自動車の全体を収容できること
  • 3.自動車の保有者が、当該自動車の保管場所として使用する権原を有すること

この条件のために、申請書、届出書には、

保管場所の所在図・配置図 1通」と「保管場所使用権原書面 1通」を添付する必要があります。どちらの書面も、北海道では下記のリンク先から、書式をダウンロードすることができます。

www.police.pref.hokkaido.lg.jp

 

保管場所権原書面については、北海道警察は、

①保管場所が自動車の保有者の土地、建物である場合は自認書(様式あり)

保有者の土地、建物でない場合は、保管場所使用承諾証明書(様式あり)、又は賃貸契約書その他使用に関する権利関係を証する書面の写し

と規定しており、注意事項として、

・保管場所使用承諾証明書は、作成の日から3ヶ月以内のものを用意すること

賃貸契約書等の写しを添付する場合は、当該添付資料の内容を審査の上、使用権原を有するか否かの判断をすること

・場合によっては、他の書類が必要となること、

を明記しています。

この規定のために、自動車の保管場所として、賃貸住宅に付属する駐車場や月極駐車場など賃貸による駐車場を借りている場合には、車庫証明の申請のために、貸主または管理会社、不動産会社に

保管場所使用承諾書

・保管場所の所在地・配置図

作成、署名、押印をしてもらう必要が生まれるのです。

書式と記入例は、北海道の場合、前述の北海道警察のホームページからダウンロードすることができます。

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保管場所使用承諾書 および 保管場所の所在地・配置図記入例

車庫証明に係る費用はどのくらい?>

車庫証明の申請は、本来、本人がするもので、保管場所の所轄の警察署で、平日の8時45分から17時30分まで受付をしています。申請から原則平日2日後に証明書が交付されます。有効期限は一カ月とされています。

必要な届出をしなかったり、虚偽の書面提出や届出をした場合等には罰則が規定されていますので、処罰されることがあります。そのため駐車場を借りている場合は必ず、保管場所承諾書を貸主等に作成・署名・押印してもらう必要があります。但し、現実には、記名押印欄に記名押印だけして書類の必要事項の記入は本人もしくは代行者に任せる業者も多いので注意が必要です。

車庫証明に係る費用は、

申請書提出時(保管場所証明書交付申請手数料) 2,200円

標章交付時 (保管場所標章交付手数料)     550円

となります。軽自動車などの「届出」の場合は、②の550円のみとなります。北海道収入証紙による納付となります。

しかし、駐車場を賃借している場合は、貸主等に保管場所使用承諾書等の作成を依頼しなければならず、その際に発行手数料を支払う契約になっている場合が一般的です。

手数料の相場は、札幌では、3000円~1万円/発行1回くらいだと思われます。その他に、保管場所使用承諾書の作成をする場合、3ヵ月~6カ月以内の短期解約の禁止と違約金を設定する特約を設ける場合も多いです。

駐車場の契約はちゃんと締結しているのに、車庫証明を取るために保管場所使用承諾書に記名押印するだけで結構高い手数料を取るなんてちょっと暴利のような気がしますよね。不動産屋はこれだから嫌だ、という人もいるかもしれません。でもそれには理由があるのです。車庫証明を取るためだけに駐車場を契約する「車庫飛ばし」といわれる違法行為があるからなのです。

車の購入には車庫証明が必要なため、いったん駐車場契約を締結して貸主等に保管場所使用承諾書に記名押印をしてもらい、車庫証明が交付されたとたんに駐車場契約を解約してしまい、その後は違法駐車をすることを「車庫飛ばし」といいます。

そうした違法行為を防止するために警察も黙っていません。虚偽の保管場所申請は20万円以下の罰金、道路の車庫代わりの使用は、3カ月以下の懲役または20万円以下の罰金等、厳しい罰則があります。その上、駐車場側にもペナルテイを課すことができます。同じ駐車場で頻繁に車庫証明の申請があるような場合には、車庫証明の発行を3ヵ月もしくは6カ月留保することができるのです。

ただでさえ、貸主等は車庫飛ばしをされてしまえば、短期解約により募集費用等に損失が生まれますが、その上、新規のお客様に車庫証明の発行が出来なくなってしまえば、その間の募集に大きな支障が生まれてしまいます。そうした貸主側のデメリットを防ぐために、車庫証明のための保管場所使用承諾書の発行手数料が、ある程度大きな金額になったり、契約期間や違約金に特約を付けるのは仕方ない流れなのだと思います。

また、車庫証明は、本人の申請ではなく、本人名で申請書が記入されていれば誰でも、申請書の提出、交付の受領を代行することが可能です。また、行政書士が本人の依頼により代理人として委任状と印鑑証明書の提出を受けた場合は、代理として申請が可能です。車の購入等の場合は自動車ディーラーや販売店車庫証明の申請や受領代行を請け負う場合が多いです。その場合の代行料はおおむね1万円前後のところが多いでしょう。行政書士に依頼する場合は、専門にそうした業務をされている方も多いので、ホームページなどで事前に手数料を確認したほうが良いと思われます。

                                  以上