さっぽろの不動産屋さん ろんたいの備忘録

札幌で細々と不動産屋を営むおっさんの四方山話です。

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緊急事態宣言! 住宅市場への影響は? 札幌中古住宅市場 【レインズ 4月月例速報】

本日(2021年5月16日)、北海道を対象に緊急事態宣言が発出され、全道全ての市町村で不要不急の外出や移動を控える要請が出されています。また札幌市、石狩地方、小樽市旭川市を「特定措置区域」として

・酒やカラオケ設備を提供する飲食店には休業要請

・その他の飲食店は午後8時までの営業短縮要請

・イベントは人数上限5000人、収容率50%

・道と市町村の公共施設は原則休館

などの対策が講じられています。

 

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5月13-14日で旭川に出張 帰りの「道の駅たきかわ」

広い北海道、なかなか一律の対策も、危機意識の統一も難しい地方ですが、なんとかこの危機を乗り越えていきたいものです。ワクチンの効果に期待が高まりますね。

 

<レインズ 4月月例速報発表>

5月14日に、レインズの2021年4月月例速報が発表になりました。毎月10日前後に発表となっている中古住宅市場の成約実績レポートです。ここは毎月決まり文句となっています。初めての読者のためのコーナーですから熱心な読者さんは、読み飛ばして頂いても結構です。

 「レインズ(REINS)」とは国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムです。レインズについての説明は、下記リンクの過去記事に少し詳しく紹介しています。

今一度ご参照ください。

 

rontai87016.hatenablog.com

レインズには様々な機能がありますが、「月例速報マーケットウオッチ」では、中古住宅販売について、毎月当該月の翌月中に月例速報が発表されます。首都圏のデータが主なのですが、札幌市についても中古マンションおよび中古戸建の成約件数、成約価格などについてレポートされます。オフィシャルな札幌市の不動産の概況レポートというのはなかなかありませんので、毎月発表される都度このブログでもご紹介しています。

 

 

<成約件数はマンションは増加、戸建ては減少・・・札幌の中古住宅市場>

 昨年の4月は、日本初の緊急事態宣言が発出されたため、中古住宅市場は全国で激減しています。札幌の昨年4月実績も、中古マンションの成約件数は151件(前年比▲36.3%)、価格も1668万円と低迷しました。

本年度はどうでしょうか?

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マンションは成約件数、価格とも大幅増 戸建ては成約数減少

 

4月の中古マンションの成約件数は220件、前年比では+45.7%と大幅増となっています。但し、これは昨年が少なすぎたということでしょう。200件を超えているので、好調とは言えます。価格についても同様で、昨年と比べると250万円近い上昇ですが、今月が特別良いというよりは、好調を維持しているという評価が適切だと思われます。

 

一方で、戸建ての取引数は、減少傾向が顕著です。札幌の戸建ての成約件数は、5ヵ月連続で100件を割り込んでいます。昨年4月は93件の成約ですから昨年よりも10件以上減少しています。全国的に中古戸建て販売は好調なので、札幌の状況はかなり特殊です。筆者は、人気の高い都心部に近い地下鉄沿線のエリアでは、価格が上昇して購入層が限定的になっていること、中古戸建ての供給量そのものが極端に少なくなっていることが戸建ての取引減少の大きな理由だと推測しています。只今、エビデンスとなるデータを探しています。もう少々お待ちください。

 

<首都圏は相場上昇、成約件数はマンション・戸建てともに伸び率は過去最高!>

それでは首都圏の状況をみてみましょう。はい、絶好調です。

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なんだよ、この前年比(笑)

中古マンションの成約件数は、3428件、前年同月比+110.4%です。110.4%じゃありません、+110.4%です。中古戸建ても、成約件数は1347件、+96.4%です。昨年実績のほぼ2倍ってことですね。価格も昨年対比600万円以上上昇しています。コロナ・バブルが原因とは思えませんが、活況を示しているのは間違いありません。

 

<コロナバブル>

現実の経済活動が、コロナ禍の影響で低迷しているのは間違いありません。観光業界・飲食業界は言うに及ばず、第一次産業から第三次産業まで悪影響を受けていない業界はほとんど存在しないと言ってよいでしょう。

そうしたコロナ禍への不満から、政府は「マスクと10万円以外補償をしていない」などと揶揄する方が特に被雇用者に多いのも無理もないと思います。

しかし、日本のコロナ禍対策、経済対策は、決して世界に比しても少ないとは言えません。下記は経済産業省のホームページに掲載の事業者向け支援策のリーフレットです。pamphlet.pdf (meti.go.jp)

 

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事業主向け支援策

 

コロナ経済対策の総予算は73兆円を超えるといいます。

コロナ経済対策、総額73兆円超に 国の支出は30兆円 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル (asahi.com)

国の直接支出は30兆円、財政投融資による財政収支が約40兆円となっています。

こうした経済対策が、雇用者や事業主へ支援金や低(無)金利融資となって市場に流れ込んでいるのです。

本来、コロナによって痛んだ事業や生活支援のためのお金ですが、事業主の多くは、念のためにと多め多めに資金を手当てします。しかし、実業による経済は縮小しているのが現実です。行き場を失った資金の多くが、実業でなく、株式市場や仮想通貨、先物市場などの活性化を招いているのが現状だと思われます。筆者は、これを「コロナ・バブル」と呼んでいます。

不動産市場でも実需の世界では、こうしたバブルはあまり影響ないと思われます。多くの場合、住宅ローンを利用して購入されますので、そうした一時的な余剰資金があまり流入する余地が無いからです。

ただ、不動産投資・事業用不動産の市場、近頃いかにも初心者が、

「市街化調整区域で400万円くらいの~」

「山林でいいんですけど既存のお家があるような~500万以内で」

「300万円以下のぼろ戸建てありますか、現金イケます!」

っていう問合せが多くて、具合悪いです。

 

実需、好きです。

 

以上