さっぽろの不動産屋さん ろんたいの備忘録

札幌で細々と不動産屋を営むおっさんの四方山話です。

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アフター コロナ時代の不動産投資・・・ワンルームマンション投資のメリット・デメリット

昨日の感染者数を時候の挨拶代わりとする毎日です。5月7日判明の札幌の感染者数は9名でした。少しは減ってきていると良いのですが、旧祝日は検査数も少ないのでまだまだ安心はできませんね。皆さん、今朝は発熱・のどの痛みはありませんか?

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緊急事態宣言もすでに延長されることが発表されていますが、いったいいつになったら解除されるのか、その基準を明確にするべきだ、との議論が高まってきました。自粛活動を続ければ、当然経済の停滞は避けられません。公的資金による支援策も永久に継続できるわけではではありませんから、感染の拡大リスクと経済の停滞リスクを天秤にかけなければいけない時期に差し掛かってきているのかもしれません。

先ほども、薄野駅前通りを車で通過した時に、昼間からガールズバーの女の子たちが店の前で客引きをしているところを見かけました。お店も女の子も生きるためには仕方ない、感染拡大と経済の停滞の狭間でまさにギリギリ崖の底を覗き込むようなチキンレースを強いられているような心境かもしれませんね。

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初夏の札幌 気温とともに経済も上向きになることを祈ります

<コロナ以降の不動産投資の位置づけ>

新型コロナの感染拡大は、世界の経済活動に思いもよらぬ大きな打撃を与えました。世界各国の都市封鎖(ロックダウン)とイベント・飲食・レジャーの自粛、休校とテレワークの促進により、航空・鉄道・旅行・宿泊・レジャー・飲食・イベント・教育関連等、様々な業界の需要が霧消し、多くの企業の存続が危ぶまれています。企業収益が覚束ない中では、一般家庭の毎月の給与収入にも不安が生じています。安定的な収入がいかに大切かを痛感された方も多いのではないでしょうか。

新型コロナ対策として、収束を目指し日常への回帰を目指すうえで、感染の縮減や再拡大の状況に応じたきめ細かい出口戦略が求められています。それと同時に、経済のV字回復も大変重要な戦略目標であることは疑いがありません。

個人の家庭においても、同様です。個人や家族の感染防止・健康の維持を前提とすると同時に、経済的に困窮することが無いように安定的な収入を確保していかなければなりません。たとえ本業の収入が不安定なときであっても、当面の暮らしに困らないような蓄えや副業・投資による副収入の必要性は増すばかりです。

しかし、マイナス金利政策が継続する日本では、元本保証の貯蓄型の金融商品はタンス貯金と変わらず副収入を望むべくもありません。

株式や為替・原油・仮想通貨などのいわゆる投資市場は、今回の新型コロナ感染拡大による実需低下を受けて、リーマンショックを凌ぐ下落幅を示しました。WTI原油先物市場の5月限価格は、月限切替日で限定的な影響とはいえ、史上初のマイナス価格を記録したほどです。私は、不動産会社を自営する前は、石油元売会社で輸出入部署にも長年勤務しましたので、今回の下落はかなりショックでした。

こうした乱高下を目の当たりすると、投資といっても株式やFX、先物市場への投資はハイリターンではあるけれど、リスクも高すぎる、と躊躇されるのも無理はないと思います。実際、これだけ上下する市場で利益を上げ続けた方はそう多くはないと思います。新規に投資を検討する方にとって、ハードルはむしろ高くなったのではないでしょうか。

不動産投資については、どうでしょう?従来、比較的リスクが低いとされる事業者向けビル、テナントへの投資については、コロナ後は逆にリスクが上昇したと評価せざるを得ません。特に飲食・宿泊事業向けのテナントは業界全体の収益性が悪化し、借主から退去・家賃の滞納や減免の要求が目白押しの状況です。退去後の新規テナントの入居の目途も立たないため、新規の投資はその多くが延期あるいは中止となる見通しでしょう。用途の変更のための内装工事も、コストがかかり工事の完了見込みも立たない状況では新たに着手することは困難でしょう。

不動産投資の中では、コロナ後は経済回復が軌道に乗るまでは、一般の居住者向けの賃貸事業の方がローリスクだという評価になるでしょう。不景気の影響による滞納や家賃減免要求のリスクは、居住用不動産も同様に存在します。しかし、個人向け住居の場合は、仮に居住者の収入に変化があっても、事業者向けテナントと違い、需要自体が停滞するわけではありません。住むという需要は必ずありますので、代替の入居者を見つけることは可能ですから、おのずと解決策の自由度が上がると評価できます。収入の安定度は事業者向けより個人住居向けの方が評価が高くなるといえます。

ワンルームマンション投資のメリット・デメリット>

居住用不動産投資も、新築投資と中古物件投資に大きく分類することができます。またそのなかでも一棟マンション投資、区分マンション投資、ワンルームマンション投資などなどに細かく分類できます。ワンルームマンション投資は、手ごろな金額から始められる投資でメリットもたくさんあります。

 

しかし、最近では不動産投資セミナーで集客し、メリットをさんざん喧伝した後に、相場よりも高い物件をお勧めするという、悪徳商法まがいの手法も増えています。

投資はリスクがつきものです。メリットだけではなくリスクをしっかり理解することが重要です。特に物件の選択については、信頼できる不動産会社と十分に検討を進めることをお勧めします。

ワンルーム投資のメリット
ワンルーム投資とは、マンションやアパートの一室だけを所有することで、家賃収入や資産価値の向上を期待する投資、です。

メリットは以下の通りです。
1. 投資金額が比較的小さい
2. 投資物件の市場が大きく選択肢が多い
3. 節税メリットが期待できる
4. 経済変動の大きな波にあまり影響されない

ワンルーム投資の最大のメリットは、「少ない自己資本・少ない投資金額から投資が始められる」ということです。金融機関のローンが活用できること、ローンの金利が安いことから、少ない自己資本でも投資が可能となることが最大のメリットといわれています。

節税対策になる、ということも大きなメリットです。相続税メリットがあるほかに、他の所得との通算課税となりますので、減価償却などの経費を差し引いて赤字となれば、所得税などの節税効果もあります。

ターゲットはサラリーマン!
ワンルームマンション投資は、サラリーマンや公務員などをターゲットとしています。それは金融機関が融資の審査をする場合には、当該の物件の担保価値は当然ながら、融資先の属性を評価するためです。安定的な収入が期待できる勤務歴が長いサラリーマンや公務員などは、収入が不安定になりがちな自営業等に比べて、仮に家賃収入が途絶えても補填が可能だと考えられるため、金融機関の評価は高くなります。それだけ融資の審査に通りやすいのです。自己資金が少ないけれど投資をしたいサラリーマンと、月々の安定的な返済を望む金融機関の利害が合致するのです。札幌の場合、意外に多いのは自衛官の方ですね。

また、節税メリットも、強制的に源泉徴収されて税金を納めているサラリーマンにとっては、返納メリットが実感されやすいものです。実際には支出しない減価償却費を計上できることも、経費計上に慣れていないサラリーマンにとっては大きなメリットとして感じられます。

しかし、このメリットを強調することによって悪用する業者が多いことは、近年問題になっていますから注意が必要です。

ワンルーム投資のリスクとは
1. 資産価値の減少リスク
2. 空き室や家賃の低下リスク

「資産価値の減少」が最大のリスクです。長期保有を前提にローンを利用する場合、ローンの終了時に資産価値があるかどうかは保証されません。例えば築10年の中古マンションを25年のローンを組んで購入した場合、ローンが終われば晴れて自分自身の資産だといえますが、築35年の中古マンションが資産となるわけです。建物自体の価値はほぼ0となりますので、家賃収益で評価されることになります。築35年の中古マンションが今と同じ収益をあげられるものか、家賃収益をあげるために必要な大規模改造や修繕の必要が生まれないかを十分考慮しなければなりません。減価償却費は実際には支出されない経費ですが、少なくともその分は建物の価値が減少していくと考えるべきものともいえるのです。

また、新築のマンションは、入居率も家賃も相場より高いことが期待できますが、資産価値の下落率もまた大きいものです。誰かが住んだ瞬間に、資産価値は7割に減るとまでいわれています。

「空き室や家賃の低下」も、ワンルーム投資においては大きなリスクです。同じマンション内でも階数や日当たりなどの諸条件で空き室が出ることはあります。ワンルーム投資では空き室が出た場合は無収入となってしまいます。他に代替の収入が期待できないのですから。退去者が出てハウスクリーニングをかけて空き室期間が1ヵ月で済んだとしても、収入は約8.3%も減ります。ハウスクリーニング代のような修繕や不動産会社の仲介手数料などの経費が発生することもあるため、収益は大いに悪化します。

また新築マンションが周囲に多くできると、相対的に既存のマンションは空き室や家賃の低下といったことが発生しやすくなります。今回のコロナショック等でも地域全体の家賃が下がる引き金になるかもしれません。気のあるエリアだから家賃が下落しづらい、というのは真理ですが、下落しない、ということではありません

■ローンの返済は経費ではありません!
一般の方が間違えやすいことの一つに、ローンの返済を入れると収支は若干赤字だから、節税の対象になるはずだ、という考えです。ローンの返済額は経費ではありません。会計上は負債が圧縮しているだけです。経費計上できるのは金利分のみです。したがってキャッシュフロー、いわゆる現金収支が赤字だからといって、収益が赤字だから節税メリットが期待できるとは限りません。元利一括返済の場合は、当初の数年間はほとんど金利のみの返済となるため、また、減価償却費も購入直後の償却額が大きく徐々に減っていくため、最初の数年は節税メリットがあっても、徐々にそのメリットが減っていく可能性があります。

キャッシュフローが赤字でも、節税メリットにより穴埋めができる、というセールストークは、税理士やファイナンシャルプランナーなどに確認するなど、十分に検討が必要です。

ワンルーム投資のリスクヘッジ
ワンルーム投資のリスクの低減方法の代表的な方法は、「投資対象の分散」「定期チェック」です。
ターゲット層・立地の異なる投資対象を計画的に増やしていくことで、リスクを分散することが可能です。1室では特に空き室リスクに対応しきれません。しかし、投資対象を増やしていくことは、新たなリスクを増やすということにもなる諸刃の剣であることも理解する必要があります。

また、投資対象の収支状況や資産評価を定期的にチェックし、必要に応じてリフォームや買い替えなどによる資産の置き換えを実施していくことが、リスクの低減につながります。収益につながらない物件は再投資や損切りが必要となる、ということです。

ワンルーム投資のデメリット
ワンルーム投資のメリットはそのままデメリットに通じます。自己資金が少なくて済むということは、返済金や金利の負担が収益への重しとなる、ということです。全部自己資金で投資ができれば例え表面利回り4%でも十分金融商品よりお得な投資といえますが、自己資金が少ない分はデメリットが必ず生じるのです。

節税メリットについても、基本的には資産価値の減少や、収益赤字が前提となります。収益性が見込める物件では節税メリットはあまり意味がありません。節税メリットを強調する物件は、将来の資産価値をあてにして近々の収益は赤字で甘んじるという理屈であり、全面的に信用することはあまり健全とはいえません。

悪質な手口としては、家賃収入、頭金、ローン金利、管理手数料から割り返してぎりぎり収益が赤字になるような販売価格を設定して、この程度の赤字なら生命保険代わりに毎月支払えるでしょうし、節税メリットで回収できますよ、と相場よりも高く物件を売りつけようとすることもあるのです。

プランニングの段階から、投資先の選定が何より重要です。そして、資金調達・賃貸運営・売却といったプロセスを、リスクとリターンのバランスを取りながら計画的に実施していくこと、決して不動産会社に任せっきりにすることなく、信頼できる不動産会社かどうかを見極めること、忌憚なく意見交換、相談ができる不動産会社を見つけること、それがワンルーム投資の成功の秘訣です。