さっぽろの不動産屋さん ろんたいの備忘録

札幌で細々と不動産屋を営むおっさんの四方山話です。

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成約数が大幅減少! 節目は変わるのか?札幌中古住宅市場 【レインズ 12月月例速報】

成人式も共通テストも終わってしまいました。もう18日です。1月終わっちゃいます。今年一発目のコラムが今頃ってどうよ。大丈夫かよ。大丈夫じゃねーよ。落ち着け、おれ。

 

明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願い申し上げます。

 

いや、札幌は、今シーズン寒すぎです。雪もわりかし多い。おのずとステイホームにもなるってことで、コロナ感染状況も、首都圏の感染者爆発に比べると、毎日100人未満の報告で小康状態が続いています。流石に不景気感強いですね。師走の中古住宅市場の動向が気になるところです。

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夜の札幌 綺麗だけど骨身に染みる寒さです


<レインズ 12月月例速報発表>

1月15日に、レインズの2020年12月月例速報が発表になりました。毎月10日前後に発表となっている中古住宅市場の成約実績レポートです。ここは毎月決まり文句となっています。初めての読者のためのコーナーですから熱心な読者さんは、読み飛ばして頂いても結構です。

 「レインズ(REINS)」とは国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムです。レインズについての説明は、下記リンクの過去記事に少し詳しく紹介しています。

今一度ご参照ください。

 

rontai87016.hatenablog.com

レインズには様々な機能がありますが、「月例速報マーケットウオッチ」では、中古住宅販売について、毎月当該月の翌月中に月例速報が発表されます。首都圏のデータが主なのですが、札幌市についても中古マンションおよび中古戸建の成約件数、成約価格などについてレポートされます。オフィシャルな札幌市の不動産の概況レポートというのはなかなかありませんので、毎月発表される都度このブログでもご紹介しています。

下記リンクはレインズの公式ホームページの12月月例速報です。

ご興味のある方はリンク先も訪問してみてください。

http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/mw_202012_summary.pdf

 

<師走は成約件数が激減!札幌の中古住宅市場>

 札幌の中古マンション成約件数は、12月は122件、前月比では▲104件とほぼ半減、前年同月比でも▲33.7%と大幅減を記録しました。昨年の単純平均成約数222件と比較しても▲100件減です。ここ数カ月は堅調な成約数でしたので、大きな変化を迎えた月だったといえるでしょう。

価格については、成約㎡単価、成約価格ともに前年比・前月比ともに、大幅に上昇しています。

中古戸建てについても同様の傾向が見られます。成約件数は58件、前月比▲60件、前年同月比▲54.3%とやはり大幅に減少しています。一方で、成約価格は2415万円、前年同月比+444万円も上回っています。

札幌の戸建ては、ほぼ100件の成約数が毎月報告されています。サンプル数が少ないため、個別要因が大きく平均値に影響しますので、傾向を語るには注意が必要です。しかし、成約数が半減しているのはやはり注目すべき事象のように思われます。

 

 

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<首都圏の12月市場 中古マンションの成約数は減少、戸建ても前月比は▲211戸減

 

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首都圏の中古住宅市場は、日本の不動産市場動向の指標の一つとして、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の一都三県を首都圏として、市場動向の概略を、毎月チェックしています。札幌と同様に中古マンションの成約数は減少傾向です。中古戸建ても前年比でみると増加していますが前月比では減少しています。

 

中古マンションの成約件数は2カ月連続当月の歴代最多数を更新した前月から1000件以上も減少しています。中古戸建住宅も、11月としては歴代最高の1303件から200件以上も減少しています。

一方価格についても札幌と同様に、中古マンション・戸建て共に、前年より大幅な上昇を示しています。

 

<コロナ禍でいよいよ中古住宅市場は縮小か?>

 このブログでは、

①「今後もうしばらくは、実需といわれる実際に住むことを目的にした中古住宅の購入は、取引件数も増える」という仮説を一貫して唱えてきました。

この仮説は、主に購入側からみて中古住宅への需要は高くなっている、という論旨で展開したものです。

一方で、

②「程度の良い中古戸建ての供給は、今後も大きく増えることは想定できません。札幌でも希少価値は上がり続けるとみています。」という仮説も唱えています。

しかし、①の仮説は、12月の成約数を見る限り、もはや成り立っているとはいえません。これは12月からコロナの第三波感染拡大が現実化し、より一層、家計の先行きを不安視する、あるいはその不安が現実化した世帯が増加したことが原因だと思われます。

ステイホームの必要性の増大による快適性の追求と、家計の先行き不安と低金利によるローンの低負担から、家賃を払い続けるより資産性の高い持ち家志向が強まっていたことが、実需が増加していた要因と考えられます。しかし、そうした実需を追求できる世帯の絶対数が、コロナの感染拡大第三波のために減少してしまったということです。

一方で、②の仮説はまだ有効だと思われます。むしろ経済的な不安要素が増している分、現状でも程度の良い戸建てやマンションを手放してまで住み替えを意図する世帯は少なくなると考えられます。供給は増えることがなく売り急ぎもないため、価格は当面維持されるのではないかと思われます。

しかし、需要は、この経済環境下でも購入検討を継続できる現金収入を維持できる世帯は減少すると思われます。需要が減少するならば、少なくとも価格の高騰を危惧する局面ではなくなるでしょう。むしろ北海道経済の破綻をトリガーとして需要と供給のバランスが崩れ、価格の下落局面を迎える可能性も考慮する必要がそろそろありそうです。

縁起でもない話を新年早々してしまいました。もちろん、この仮説は外れて、そうならないことを願っています。

以上