さっぽろの不動産屋さん ろんたいの備忘録

札幌で細々と不動産屋を営むおっさんの四方山話です。

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2月の成約件数は大幅減? 札幌中古住宅市場 【レインズ 2月月例速報】

メッセンジャーで、「貴方が懸賞に当たりました」と知らない人から連絡が入りました。またいつものスパムメールかよ。ちゃんと会社名まで記載しちゃっているよ、手が込んでいるなあ。近頃のアマゾンや楽天カードを装うスパムも、ぱっと見じゃわからんもんなあ。鬱陶しいなあ。あれ?担当者の個人名と連絡先まで書いているぞ?大丈夫かよ。あれ?

誕生月だし良いことないかな、と思ってダラダラFacebookを見ていたら、ステーキハウスが「コロナに負けるな」とキャンペーンでステーキ肉プレゼント企画をやっていて。「当たるわけないよな」と思いつつ、応募したんですね。応募したのも忘れていました。

あたっちゃったよ。250グラム×3枚。ありがとう「株式会社グランドデザイン」さん。ありがとう「BEEF IMPACT」。

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Facebookの懸賞記事で当たりました、びっくり!

<レインズ 2月月例速報発表>

3月10日に、レインズの2021年2月月例速報が発表になりました。毎月10日前後に発表となっている中古住宅市場の成約実績レポートです。ここは毎月決まり文句となっています。初めての読者のためのコーナーですから熱心な読者さんは、読み飛ばして頂いても結構です。

 「レインズ(REINS)」とは国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムです。レインズについての説明は、下記リンクの過去記事に少し詳しく紹介しています。

今一度ご参照ください。

 

rontai87016.hatenablog.com

レインズには様々な機能がありますが、「月例速報マーケットウオッチ」では、中古住宅販売について、毎月当該月の翌月中に月例速報が発表されます。首都圏のデータが主なのですが、札幌市についても中古マンションおよび中古戸建の成約件数、成約価格などについてレポートされます。オフィシャルな札幌市の不動産の概況レポートというのはなかなかありませんので、毎月発表される都度このブログでもご紹介しています。

下記リンクはレインズの公式ホームページの2月月例速報です。

ご興味のある方はリンク先も訪問してみてください。

http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/mw_202102_summary.pdf

  

<成約件数が激減?・・・札幌の中古住宅市場>

 先月のレインズ速報では、12月の成約件数が激減!と伝えていた速報値が実は間違いだったとご報告させて頂きました。今回2月の速報では、また成約件数が大幅減ということで報告されています。 

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2月の中古マンション取引は、成約数で212件、前年比では▲22.6%、中古戸建取引も、成約数67件、前年比では▲30.9%、と前年比でみれば確かに激減といっても過言ではありません。

しかし、中古マンション取引は、前年平均は197件/月となっており、2月が28日しかないことを考えれば本年2月の212件も、前年月平均の成約数を上回っているのですから、減少傾向が本格的とはいえないと思われます。成約価格も前年平均を上回っているので、下落傾向にあるとは、現時点ではいえないでしょう。

一方で、戸建ての取引減少は本格的なものかもしれません。前年・前々年ともに戸建ての成約件数は、札幌では、ほぼ100件/月が報告されています。それが2月は67件、単月だけではなく3ヵ月連続で100件を割り込んでいるので減少傾向であることは否めません。しかし、価格については+306万円と依然好調です。次にご紹介しますが、首都圏の戸建ては大幅増となっていますので、札幌に特有の現象かもしれません。

 

<首都圏の戸建ては大幅増!>

それでは首都圏の状況をみてみましょう。

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中古マンションの成約件数は、3587件と前年比では▲4.3%と減少しています。しかし前月比では+107件の増加、前年平均との比較ではなんと+602件の増加となっていますので、取引は堅調という評価をしてもよいと思います。また価格も3775万円と前年に比べて+202万円と好調を維持しています。

中古戸建てに至っては、成約件数で前年比+20.9%、価格も前年比+223万円と、絶好調といってよいでしょう。

 

<首都圏は絶好調なのに、札幌の戸建てが不調なのはなぜ?>

中古住宅市場が好調になる理由は、このコラムで何度も書いてきました。

・コロナ禍で家にいる時間が長くなるため、「家」について考える時間が長くなっている

・現状の家に不満も多くなる

・現在の低金利下では家賃とローンの支払いを比較すると持ち家の利点が高まる。

・コロナ禍で将来の不安が高まり資産としてのマイホームの価値を求めることも多い

・コロナ禍では、テレワークの普及もあり、通勤事情よりも広さや環境を求めて戸建て需要が増えている

などの要因が、持ち家志向を高めているのではないか、特に中古市場については、新築は高価であり、供給地域も限られているため需要が高くなっているのではないか、と考えられます。

首都圏の中古市場の活況は、まさにこうした仮説を裏付けています。多くの住宅評論家と称する予言者(笑)が「コロナ禍で首都圏のマンションは暴落するなど」と一年以上言い続けていますが、恥ずかしくないんでしょうかね、彼ら。

 

とは言いつつ、札幌の中古戸建てが不調になってきているのはなぜなのでしょうか?

一つの仮説としては、札幌の方が首都圏に比べて不況度合いが深刻ということが言えるのかもしれません。札幌の平均年収は400万円台といわれており、首都圏に比べて高いとはいえません。また産業構造も第3次産業比率が高く、観光や飲食に依存しており、コロナ禍の影響を経済的に受けやすいといえます。住宅の購入を検討できる人口そのものが首都圏に比べて減少率が高いのかもしれません。しかし、この仮説は、マンション市場の活況を説明できません。

もうひとつは、中古戸建て市場において、市場そのものが縮小しているのではないか、ということです。人口が増大していた時期は、札幌は今まで原野であった、南区・清田区手稲区厚別区・東区など郊外に住宅地を求め開発を進めてきました。しかし、今は人口の停滞に伴い、都心回帰がブームとなっています。しかし、都心部の戸建て供給は新築も中古も限られており、価格も高いため、取引そのものが沈静化してしまっている状況ではないかという事です。この仮説が正しいのであれば、たとえ景気が良くても既に価格は高騰しており、戸建てとしての供給が限定されることには変わりが無いため、活性化には時間がかかる、長期化・固定化するのかもしれません。札幌市での戸建て需要は都心部の人気は高いが、供給数が少ないため、取引数の減少は止まらない、というのが私の仮説です。

次回以降は、在庫の推移等の統計を調べてみることにしましょう。

 

 

以上