さっぽろの不動産屋さん ろんたいの備忘録

札幌で細々と不動産屋を営むおっさんの四方山話です。

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【位置指定道路ってなに? 不動産取引で道路の説明が重要なわけ】

本日の札幌市は朝から薄曇り、部屋の温度は7℃、「って冬かよっ!」とツッコミを思わずストーブのスイッチとともに入れてしまいました。5月も下旬だというのに・・・。今日も在宅勤務です。そういや昨日、我が家にもアベノマスクがやってきました。

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老いた両親と暮らしていますので有難く利用します

10万円の特別定額給付金の申請書の方が実は届くのが楽しみです。札幌市は18日から市申請書の送付が開始されています。もう3日目なのになあ、ジジババと私の3人分かあ、と狸の皮算用を楽しんでいます。このあいだ父(ジジ)と話をしていたら、父は父で3人分の給付金を全部自分の一存で使えるものとしてなにやらぶつくさ言っていました。全く近頃の高齢者は、油断も隙もありません。

そんな在宅勤務の毎日ですが、お客様に検討を依頼している土地について、「隣地との間に隣地の通路があるようなのだが、これは隣地の敷地内なのか、それとも位置指定道路等なのか確認してくれないか」との依頼がありました。結果的には隣地は旗竿地で、接道義務を果たすための形状となっていたことが確認できました。

不動産の取引においては、その土地がどんな種類や幅の道路に接しているのか、どのくらいの長さで接しているのかは、大事な情報になります。宅建業法では、重要事項として宅建士が買主に説明しないといけない項目の一つに規定されているほどです。そこでどうして道路の情報が重要なのか、位置指定道路認定道路二項道路みなし道路といった言葉の意味と一緒にとご紹介していきます。

 

接道義務、道路に関する説明が不動産取引で重要な事由>

道路に関する説明が不動産取引で重要な理由は、建築基準法第43条1項で「建築物の敷地は幅員4m以上の道路2m以上接しなければいけない」という規定があるからです。これを接道義務といいます。この接道義務は、都市計画区域内および準都市計画区域内の建物に適用されますが、都市計画区域外の建物にはこの義務は生じません。

この接道義務に違反する土地は建築物が築造することができず建物は再建築することが認められないため、不動産としての価値が著しく下がることになります。そのため、接道義務を満たしているかどうかは不動産取引にとって極めて重要な事項となるのです。

 この接道義務のポイントは

・「道路」とは建築基準法で規定する道路

・敷地と道路は、2m以上の間口で接していること

・道路の幅員が4m以上であること

です。

防災や避難など安全面や、日当たりや風通しなどの衛生面、交通の利便性の確保など、道路は、生活をするうえで重要な役割を果たすため、接道義務が定められています。

 

建築基準法で規定する道路の種類>

建築基準法では、道路は第42条で規定されています。道路の規定の内容を表にして整理してみましたので、重要な点を説明していきましょう。

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建築基準法第42条は、道路の種類を規定している法律です。1項幅員が4m以上の道路2項から6項4m未満の道で建築基準法上の道路として認められる道種類を定めています。


1項で定められている道路はさらに1号から5号に分類されています。

1号道路は、道路法で、国道、都道府県道、市町村道など認定された道路です。ほとんどの道路は市町村道として認定されているため、1号道路が最も多い道路だといえるでしょう。

道路法では、登記簿上の所有者が国や地方自治体であるか私人であるかは問いません。所有者が私人であっても、市区町村道の認定を受けていると原則「公道扱い」となります。これを「認定道路」といい、役所の建築課や建築指導課の「道路台帳」で「認定番号」「認定幅員」「認定番号」「路線名称」が確認できます。認定道路は、接道義務のの道路となりますが、例外もあるので役所の建築課や建築指導課で確認しなければなりません。

2号道路は、市街地などの開発や宅地造成工事の際に築造された道路で「開発道路」とといわれています。2年や3年の期間を経て市区町村道に認定されて、1号道路となるのが一般的です。

3号道路は、「既存道路」といわれており、建築基準法の適用や、都市計画区域の指定の以前から存在する4m以上の道路のことです。そのため一般的には、私道が多く、境界等も不鮮明なものが多くなっています。

4号道路は、「計画道路」といわれ、工事前や工事中の道路でも、道路幅員が4m以上あること、2年以内に事業の執行が予定されていること、特定行政庁が指定していることを条件に、建設基準法上の道路として認められた道のことをいいます。

 

<私道に多い、5号道路「位置指定道路」の特色>

5号道路が、「位置指定道路」といわれています。私道を関係者の申請により建築基準法上の道路とする一つの手段であり、政令で定める基準に適合した道で、特定行政庁から位置の指定を受けたものをいいます。位置指定道路として建築基準法の道路に該当すると、私道であっても変更・廃止は厳しく制限されます。

位置指定道路として位置の指定を受けるには、いくつかの要件があり、自治体によって詳細が定められています。以下にいくつかを例示しておきましょう。

・道路延長(行止りの場合は原則35m以内

道路幅員(4m又は6m以上)

すみ切りを設けていること

・舗装はアスファルト簡易舗装と同等以上

・縦断勾配は9%以下を基準として最大でも12%までとすること

・必要な排水設備(側溝等)を設けていること

・道路部分を分筆し、地目を「公衆用道路 」としていること

 

建築基準法第42条2項~6項は例外規定 2項道路「みなし道路」とは?>

建設基準法第42条2項から6項までの規定は、幅員4m以下の道を建設基準法上の道路として例外的に定めるものです。3項から6項はかなり特殊な状況に関する規定ですので、一般の方は、まずは2項道路「みなし道路」について理解をしておきましょう。

建築基準法第42条2項は、「建築基準法施行時、現に建築物が建ち並んでいる幅員4m未満の道で、特定行政庁の指定したもの」は、道路みなし、その中心線からの水平距離2mの後退線をその道路の境界線とみなすと規定しています。この道路を2項道路「みなし道路」といいます。2項道路は、1.8m以上の幅員が必要となります。

「4m以下でも指定された道路は、中心線から片側2mの距離までを道路とみなします」ということです。これは、逆にいうと新たに建造物を建てる場合は、敷地内であっても2項道路の中心線から2mまでは建物を建設することはできない、ということです。自分の敷地を後退させる必要があるので、敷地後退セットバックと呼ばれます。

<位置指定道路や2項道路の調べ方>

不動産屋は、不動産取引を仲介するときには重要事項説明で、接面する道路についても説明しなくてはいけません。そこで市役所に行って道路台帳などで確認します。

まずは道路管理課へ行き、道路法の道路(市町村道)かどうかを確認します。ここで認定幅員も確認します。4m以上であれば問題ないのですが、それ以下であれば市道であっても第42条1項1号の道路には該当しません。また、位置指定道路も、第42条1項5号の道路となり、道路管理課では確認できません。したがって、そうした場合には、建築指導課に、当該道路が建築基準法上の道路に該当するか(位置指定道路か、2項道路に該当するか)を確認しにいくことになります。

 

位置指定道路など、不動産取引に必要な知識として道路の種類について、概要を説明させて頂きました。実は私もしょっちゅう説明を確認しています。建築関係の勉強は、独学で、体系的にはしたことが無いので、すぐ混乱してしまいます。とはいえ、不動産取引を重ねていくには不可欠な知識です。セットバックや再建築不可などの条件に密接にかかわる大事な条件だからです。何度も繰り返し確認してしっかり知識を身につけることをおすすめします。 

 

                            以上